一昨年の今日、引き続き自作のことを考えている私。
これを見て突如思い至ったが、
この作品世界には様々な言語がある設定なのだが、それぞれが文字を持ってるのだろうか?
もしかしたら文字があるのは大陸公用語だけで、それぞれの現地語には固有の文字はなくて、日本語にとってのローマ字のような形式で現地語を表記してるのかも……?
何年書いてても考えたことない部分っていっぱいある。
どうでもいいけど「海鼠」に出てきたヘンリックの字の綺麗な命令書の字は、執務室にいたちびっこ(従僕)の中の誰かめっちゃ字が上手い子が書いているはずなので、イルスは命令書の書記と出会ってるんだけど、一切ストーリーと関係無いので、作中にそういう叙述はない。
正式な命令書には専用のプロの祐筆がいるけど、ちょっとした伝達程度の手紙はヘンリックは部屋にいる従僕に書かせている。字が汚いので、メモ程度でも自分では書かない。署名しか書かないという設定である。
現実の世界にも固有の書き言葉がない言語ってけっこうある。
話し言葉を書き留めて記録できるんじゃないかっていう発想に至らなかったってことなのか。書き言葉って大発明だったんだろうな。
書き言葉があっても、話し言葉で表現できてることを全て書き下せるレベルの書き言葉がある言語と、そこまででもないのとか、他の言語の表音文字(アルファベットとか)を借りて自分とこの言語をむりくり書いてる場合とかいろいろある。
拙作の第四大陸の皆さんがどうしてるのか深く考えてなかった気がする。物語に必要なかったので。
たぶんだけど、第四大陸では書物や手紙は大陸公用語で書かれているもので、知識階級しか読み書きできないんだと思う。
商人は証文を読み書きする必要があり大陸公用語が読み書きできる。
ヘンリックも少年時代に商家に仕えていたので読み書きできたけど、幼児期から手習いしたわけじゃないので悪筆なのだと思う。
商家に買われる以前はおそらく文盲だったと思う。習う機会がない。
「海鼠」で執務室に支えていた少年たちが字が上手いのは、幼少期から教育を受けられた層の出身だから。
湾岸の貴族たちは普段から大陸公用語で話しているので、貴人に仕えるには公用語が話せないといけないし、書くことも必要だと思う。
貴族階級は建前として現地語と公用語のバイリンガルだが、公用語しか分からないモノリンガルの人も現実にはいそう。
公用語は神殿種の言語なので、神殿との交渉には公用語しか使えない。
族長になるには大陸公用語の読み書きスキルはマストの技能だ。
ギリギリだったな、ヘンリック父さん。TOEICのスコアがギリギリみたいな
「新星の武器庫」にケシュク少年が果たし状を送ってくるエピソードがあるが、ケシュク君がああ見えて秀才であることが伺い知れる話だ。
「銀貨三枚の矜持」(今もう非公開だっけ……?)で、グラナダ市では読み書きを習う寺子屋っぽい学校の授業料が年間銀貨3枚という設定になっていた。
ケシュクは職人の子だが、学校に行けたってことだ。
実はこの世界の貨幣価値や物価も未設定なので作者もよく分かっていない。
寺子屋の授業料が年間銀貨3枚って高いんじゃないのかと思うのだが、たぶんグラナダ市は学費が高いエリアなのだろう。
スィグルが領主として自ら治めに来るまで、統治を委任されたお代官様がトップに座っていて、ラダック氏がそれとバチバチにやり合っていたのだろうなって感じだったし、統治は実は荒れていたのだろう。
市民も「殿下が来てから街は良くなった」と思っている。思っていないと物語にならないw
グラナダ市でも宮殿(市庁舎)内では大陸公用語で会話してるんじゃないだろうか?
スィグルとギリスが話す時も公用語で会話してるはずと思うが、ラダック氏は仕事中は公用語、退勤したら現地語で話してると思うので(一人暮らしっぽいけど)、彼はバイリンガル生活だろうと思う。
ケシュク少年と話す時は殿下もギリスも現地語を喋ってると思う。
なので殿下とギリスが話してる横にケシュク少年がいても、実は会話の内容は聞き取れてないのかもしれない。公用語での会話についていけてないかもしれないから。王都の宮廷の方言もありそうだし。
しかし小説では「只今の会話は大陸公用語で行われています」とかは書けないので、有耶無耶シームレスに言語が切り替わってる状態だから、精査したら場面によっては矛盾点があるのかもしれない。
けど言わなきゃ読者さんにはバレない。(今、言いいました)
「海鼠」でレノンの次男が「お兄ちゃんは学校だよ」と言う場面があるが、これはヘンリックが族長位に就任後に制定した小学校みたいなやつで、いちおう義務教育っぽいノリで運営されているもの。
ああ見えてヘンリック父さんは国民皆教育を目指している。学校はたぶん午前中だけで給食は出ないんだが無料で通える。成績が良いと次の中学校っぽいものに特待生として無料で進学できる。
ヘンリックの執務室にいた子たちは、その進路で教育された新しいタイプのエリートということになる。
ヘンリックの側仕えで修行したあと夜警隊(メレドン)に入隊するのを目標にしているんだろうと思う。夜警隊の隊員は最下級だが貴族の位がもらえる。
実際の社会の中での位置付けとしては、夜警隊の隊員は一番弱い貴族といよりも、中間層の中で最強というポジションで、貴族階級から政権を奪った状態にあるんだと思う。
ヘンリックは合法的にゆるやかな革命を起こした人物で、第一言語は現地語なので、「自国語で話す族長」という点が民衆にとって画期的だった。
「言葉が通じるエライヒト」だ。
もと奴隷で、中間層の出身でもあり、夜警隊の隊員でもあったし、大貴族とも婚姻している。愛妾のヘレンは下級貴族出身だし。
族長の息子のうちジンやイルスの方が民衆人気が高いのは、イメージの問題だ。
ヘンリックがイルスを同盟の人質に出した件も、民衆は「大貴族の孫は義務を逃れたが、ヘレンの息子は逃げなかった」と同情的に捉えている。
それもあって港から馬車とかでなく騎馬で移動させて、イルスの姿をサウザス市民に見せたってことかと思う。
イルス自身は「なんでみんな俺を見てるのか?」と思っているが、市民は「離宮の坊々が帰ってきた」「それなのにすぐ敵地に連れて行かれる」と思って見ている。
湾岸のお父さん達にとって愛妻が産んだ息子は自分の命より大事なので、ヘンリックが民のために払った犠牲を重く受け止めている。
イルスにとっても、もし生還できれば大きなアドバンテージになる。
という話をヘンリック父さんは息子に説明したらいいのに⁉︎ と思うが、シャイなので一言も話せず送り出しちゃった。
イルスがサウザスに帰還して、一夜で出発するというのは、民衆が受け止めるストーリーとしては大きな意味があったと思うけど、ヘンリックがどこまで考えてやってるのかは分からない。
用事もないのに長く滞在させてもしょうがないので、さっさと出発させたのではあるけど、それが民衆から見ると「長く別れを惜しむのは悲しすぎるから」というふうにも見える。
割とセンチメンタルな国民性なので。湾岸のオッチャンやオバチャンたちって。
とにかくヘンリックに同情的なのだ。何もかも好意的に解釈される。
イルスとかスィグル・レイラスみたいな立場の人物にとって、不幸であることは必ずしも不運ではない、という物語だ。
たくましく生きてほしい。
Feb 3, 2026 22:26