岩川ありさ IWAKAWA Arisa
文学研究者。現代日本文学、フェミニズム、クィア批評、トラウマ研究。著書『物語とトラウマ―クィア・フェミニズム批評の可能性』(青土社)、『養生する言葉』(講談社)。『同朋』24年9月号から小説「一切の幸せ」連載中。写真は小宮山裕さん。
- 先日の名古屋大学でのTCS国際シンポジウム TCS International Symposium「グローバルアジアズ」の未来像へ――ローカリティ、物質性、メディエーションにお越しいただきありがとうございました。私の発表原稿の最後の部分を置いておきます。 最後に強調しておきたいのは、今、この世界でどれだけ多くのものが見過ごされ、見殺しにされているのかを私たちがここで話しあわなければ、文学や文化の価値判断が変わることはないということです。ウクライナで、パレスチナで、ベネズエラで、どのような不当な虐殺、植民地主義、軍事侵攻が行われ、
- その声がメディアでは封 鎖されているのか。また、世界中で起こっている排外主義、差別、偏見の流布によって、マイノリティは周縁化され、その生そのものや生の尊厳を奪われている現状にあります。あなたが文学研究をしているときに見過ごしたものは回帰してきます。私が見過ごしたものも回帰します。今、現在、私たちが見過ごしたものは未来において回帰してくるのです。しかし、それらを未来において捉えるのでは遅すぎるのです。今、人が死に、人が殺され、破壊が起こっているのですから。未来像、それは、未来に何かを託したり、未来に解決を求めることではありません。
- 未来像とは、過去が、歴史が、テクストが、あなたにはこんなにも見過ごしたものがあったのだ、あなたはこんな不正義を今目撃しているのだと教えてくれる瞬間を、現在においてつかみとることなのかも知れません。
- NABAのオンラインセミナー「自分の生を養い、取り戻すための言葉と知恵」、お聴きくださり、ありがとうございます。『養生する言葉』で書いた文月悠光さんの詩を軸にしながら、「自分を生きる備忘録」も朗読しました。生きる知恵がつまったNABAのホームページも見てください!https://naba1987.web.fc2.com
- 『群像』3月号から新連載「自分を生きる備忘録」が始まります。第1回は「誕生日に素直にありがとうといえるようになりたい」。AIの話や吉田恵里香さんの小説『にじゅうよんのひとみ』について書いています。本屋B&Bの小川公代さんと吉田さんのイベントで出会った大好きな小説。よろしくお願いします。